生前整理の定義と、作業の流れをご説明します(前編) ~きっかけから見積りまで~
コラム 生前整理について
最近よく聞くようになった「生前整理」という言葉。
「遺品整理」と異なることはわかるのですが、その定義や、業者に依頼した場合、作業はどう進められるのでしょうか?
そこで今回は、遺品整理・生前整理における地元のパイオニア的存在、大橋運輸株式会社の営業、佐々木仁美さんが詳しくご説明してくださいました。
1.生前整理って、そもそもなに?
生前整理のイメージってなかなかわきづらいですが、定義は2つあると考えています。
1つ目が「よりよく生きるための整理」。
生前整理は人生最期の整理と感じる方もありますが、今や人生100年時代!
最期を迎える前の整理ではなく、これからよりよく生きていく節目として行う整理なので、第二の人生のための「青春整理」なんて言うこともあるんですよ。
そして2つ目が「防災のための整理」です。
家が片付いていないお宅にはモノが多いですよね。すると、家の中の動線が確保できず、転倒といったケガも起こりやすくなります。
また、地震の際にはモノが落ちてきたり、逃げる経路が確保できないことも。
実は高齢者のケガの8割は自宅で起こるので、家の整理は命に繋がるといっても過言ではありません。
以上の定義から考えると、生前整理は、「楽しく安全に生活するため」にあります。
2.生前整理を行うきっかけとは?
では、多くの方はどのようなきっかけで生前整理を行うのでしょうか?
弊社では定期的に「生前整理セミナー」を行っていますが、受講者さんは60~70代の方が中心で、8割が女性です。
この数字から見ると、60代以降に生前整理を考える方が多そうですが、生前整理は「生きるため・防災」のための整理なので、気付いた時から始めるのがベスト!
とはいえ、あくまでもこれは理想論。
実際のきっかけとしては2つのパターンがあり、
- ホームや病院にいかれる方の、ご家族からのご依頼
- 部屋や家が片付けられない、ご本人からのご依頼
に大きく分かれます。
(1)の場合はお宅を引き払うこと。引っ越しするイメージです。
(2)はいわゆる「片付けられない」状態。
ここには精神的な問題が大きく関係しています。
例えば旦那様や奥様が亡くなってしまった、あるいは長年務めた会社を退職したなどで気力をなくしてしまったり、後見人さんやケアマネさんからのご依頼で、認知症の方の家を片付けるケースもあります。
中には「引っ越してきた時、ゴミの日がわからなくて、近所の人にも聞けず…」という状態が続き、気付けばゴミの中で生活していた方があったりと、物理的な要因ばかりではないことがいえます。
このようにご依頼のパターンは2つありますが、どちらの場合も業者が行う基本の作業はほぼ同じで、弊社では、
(1)お問い合わせ
↓
(2)実際にお宅を訪問してヒアリング
↓
(3)お見積りを提出
↓
(4)作業
↓
(5)請求書提出およびお支払い
という5つの流れを取っています。
それぞれ、細かく説明していきます。
3.業者に頼んだ場合の流れ
(1)お問い合わせ~(3)お見積りまで
お問い合わせをいただいたら、簡単に状況をお聞きし、お宅に伺う日を決めます。
実は最近「部屋や家の様子を写メで送ってもらえば見積りします」という業者が増えているのですが、これは絶対オススメできません。
なぜなら、モノの量が把握できない上、そのお宅のどこまでトラックが入れるかということもわからず、正確なお見積もりが出せないからです。
こうした理由で、弊社では直接スタッフが伺い、モノの量と搬出経路をその場で確認します。
また事前に伺うスタッフは女性ばかり。これは業界でも珍しいようで、女性ならではの目線で今後どうしていきたいかを、丁寧にヒアリングいたします。
具体的には以下のようなことをお訊ねします。
- 今回依頼された経緯や理由
- 今後この家をどうするのか(そのまま住むor引っ越す)
- 探したいものがあるか
- その他、ご本人やご家族様のご意向
モノの多さにも幅があり、ただ散らかっていることもあれば、床から天井、さらにお風呂までぎっしりモノが詰まっていることもあります。
「モノが多い、片付けられない」とひと口に言っても、状況はいろいろなんですよね。
さて、モノの量と搬出経路がわかったところで、いよいよお見積りです。
簡単に言えば料金はモノの量で決まり、具体的には
- ダンボール何箱相当が必要か
- トラックの台数や大きさ
- 作業員の数
- 有料で処分するアイテムの数
などから算出します。
弊社がある瀬戸市には古くからの大きなお宅が多いため、家一軒を整理する際、大きなダンボール(みかん箱2つ分)が100個以上ということもよくあります。
なお、「他社より絶対安いです!」という業者には要注意です!
こうした業者は、作業員の人数が極端に少ないため立会い時間が長くなり、その分ご依頼主の方に負担がかかってしまいます。
安かろう、悪かろうというのは、この業界では常識といえるかもしれません。
ちなみに弊社では、作業は6時間程度を目安にしております。
工程の(4)「作業」からについては、後編で詳しくお伝えします。