前編に続き、後編では作業からお支払いまでの工程と、事前に確認・準備しておきたいことをお伝えいたします。

 

1.「家を空ける場合」は、有価物以外、全て処分が大半

生前整理では、仕分けの作業が一番の要となり、弊社では、以下のように分別しています。

①可燃物(本や雑誌を含む)

②プラスチック

③陶器やガラス

④その他不燃ゴミ

⑤大型ゴミ(家具など)

通常のゴミ処分と同じような感じですね。
その後の作業は、「家を引き渡す場合」と「そのまま住む場合」で、少し異なります。

家を完全に引き渡す場合は、これらをすべてダンボールに詰めて本社に持っていき、仕分けします。

 

①の可燃物のうち、気をつけているのが本や雑誌、新聞紙など。

実は紙の間って、いろいろなものが挟まっていることが多いんです。

 

最もよく出てくるのはお金、さらには権利書や株券といった有価証券、手紙など

小さなメモも重要な可能性があるので、ノートや本の一枚一枚や引き出しの裏側に至るまで、何もないかをチェックしていきます。

事前に「探したいものがある」という場合は特に慎重に調べます。

また、④は見積り時にもチェックしていますが、家電リサイクル法に該当する4アイテム(エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機)、およびパソコンがこれにあたります。

⑤は弊社特有のシステムです。

弊社ではフィリピンに業務提携している企業があり、大きな傷がついていない家具は輸送し、現地で使っていただいています(夏用の衣類を輸送することもあります)。

まだ使える家具を譲ることで、その分お客様には処分代をお安くできるというメリットもあります。

家を空ける場合は「すべて処分」というご希望が多いのですが、仕分けた結果、以下のような有価物が出てきた際は、お返しいたします。

・お金

・株券などの有価証券、権利書

・時計や宝石

・ブランドアイテム

・写真

 

2.「片付けられない家」は、母と娘のようになり、「要・不要」の判断を、隣でサポート

次に、そのままお住まいになる場合の作業工程をご説明します。

この場合、モノを処分するには「一緒に仕分けて捨てる人」の存在が不可欠!

弊社には、遺品整理に関する専任スタッフがおりますので、ご依頼者の横にいて「要る・要らない」を一緒に判断し、部屋が片付くまで併走。

ダンボールに不要品を詰める前の段階で、一緒に分別していきます。

 

片付けられない人には、「要るかも…」「捨てるともったいない」という思考があります。

そこで私たちは、母と娘のように、距離が近くともズバっといえるような関係を作り、すっきりした空間を実現していただきます。

 

具体的にはこんな声かけをしています

「どうしますか? どうしたいですか?」

「思い切って捨ててみましょう」

時には、

「このままだと、お部屋は変わらないですよ」

「片付かなくて私が帰っても、料金はいただいちゃいますよ」

なんていう、厳しい言葉を投げかける時もあります。

 

正直、心苦しい時もありますが、ご依頼主は「これからはすっきりした空間で過ごす!」「もう散らかった部屋はいやだ!」と決意され、お金をかけてまでプロにご依頼してくださっているんです。

ですから私たちもそのお気持ちをしっかりと受け止め「安全ですっきりとした部屋」を叶えていきたいのです。

 

不思議なもので、部屋が片付いた瞬間、顔がぱっと明るくなられたり「ああ、人生が変わった!」っておっしゃってくださる方もあります。

この仕事をしていて、一番嬉しい瞬間でもありますね。

 

とはいえ、また元の散らかった部屋に戻ってしまう方もあります。

「キレイ」という感覚は人それぞれですので、キレイでいる感覚が薄れ、捨てることができなくなってしまうようです。

少しずつでもいいので、捨てていく習慣を身につけていただけるのが理想ですね。

 

3.お支払いについて&事前にやっておいていただくといいこと

すべての作業が終わりましたら、請求書をご提出いたします。

弊社の場合は追加料金が発生しないようお見積りを出していますので「こんな高くなるとは!」ということはありませんが、お支払いの際、ご家族同士で「誰が払うのか」でトラブルとなることがたまにあります。

ご家族やご兄弟で依頼したものの、誰がお支払いをするのか決まっていないというケースですね。

最後にこうしたことが起こらないよう、事前に決めておいていただけると助かります。

同様に、貴金属や宝石などをご家族で分ける場合も、誰がどのアイテムをもらうか決めておいていただけるといいですね。

生前整理は基本的には「丸ごとお任せ」で構いませんが、冷蔵庫とタンスの中身だけは事前に出しておいていただきたいですね。

というのも引越しの際と同じで、モノの重量の分、移動がしづらいからです。

また、冷蔵庫の場合は電源をオフにするので、作業が終わってから冷えるまでに、食品類がいたんでしまいます。

タンスの場合は、モノを入れたままで移動すると引き出しがきしみ、リサイクル品として使えない可能性が高くなるので、こちらも中身を取り出しておいてください。

あとは基本、プロに丸ごとお任せくださいね!

 

まとめ

冒頭でお話ししたように、生前整理は決して亡くなる前の準備ではなく、「人生100年時代を、より楽しく安全に生きる」ための整理です。

最近は断捨離®にも見られるように、モノを減らすことが節約に繋がると注目され、空間がスッキリすることで電気代が安くなったり、モノを探す時間が激減することも。

さらに、本当に必要なものだけを大切に使うことで、改めて愛着がわいたり、気持ちがクリアになるという効果もあるそうです。

モノを増やさず、片付いた部屋をキープするためには、気持ちと行動の面から「捨てる習慣」をつけることが必要です。

とはいえ、もしどうにもならなかった時には、私たちのようなプロを頼ることで、快適で安全な生活を手に入れてください。