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遺品整理・生前整理はなぜ必要? プロがご説明します!

2020.03.23

コラム 遺品整理について/生前整理について

「終活」や「生前整理・遺品整理」という言葉が徐々に広まり、そのキーワードはもはや一般的になっています。

でも、
生前整理や遺品整理がなぜ必要なの?
生前整理や遺品整理をしないと、なぜ困るの?

という理由についてはなんとなく」とかそろそろ年だから…と思われている方が多いのではないでしょうか?

そこで、今回は生前整理や遺品整理のプロフェッショナルである、大橋運輸株式会社(愛知県瀬戸市西松山町2-260)さんを訪れ、8年前から遺品整理・生前整理の専門部署で活躍されている、川本拓実さん(22歳)にお話を伺ってきました。

お客様のニーズに応えるうち、「これが生前整理・遺品整理」だと気づく

--そもそも、遺品整理や生前整理に定義というのはあるのでしょうか?

川本さん(以下敬称略)「そうですね。遺品整理は文字通り遺品を整理すること。亡くなった方が住まなくなったお部屋を片づけることです。

一方生前整理には2つのケースがあります。
まずは、いわゆる『片づけられない部屋』を片づける場合、
そして、主に高齢者の方などが施設に移ることとなり、住まいを引き払う場合があります

--「なるほど。改めて伺うとわかりやすいですね。
大橋運輸さんは、遺品整理や生前整理のプロとして知られていますが、もともと特化してされてきたのでしょうか?

川本「弊社は運送会社ですから、引っ越し業務も多いんです。
私も8年前に引っ越しのアルバイトを始め、それがきっかけで入社したのですが、その頃から『身体がいうことをきかなくて部屋が片づけられない』『おばあちゃんが施設に入ることになっちゃって…』というご依頼が多かったんですよ」

--では、お悩みに応えていたら、実はそれが遺品整理や生前整理だったという感じなんですね。

川本「ええ、地域の皆さまのお陰なんです。
実は弊社のある瀬戸市はかなり地域の高齢化が進んでいて、50歳以上の人口が約半分の48.1%を占めるんです(※1)。
こうした背景から、遺品整理・生前整理に特化したという流れになりました」

--困っているけれど、誰に頼んだらいいかわからない…じゃあモノが多いから、引っ越し業務をしている大橋さんに頼もう! ということになったんでしょうね。
では、生前整理と遺品整理をやらなくてはならない理由はなんでしょうか?

川本「遺品整理と生前整理は目的が違うので、それぞれご説明いたしますね

※1 瀬戸市ホームページ、2019年10月の資料より引用
http://www.city.seto.aichi.jp/bunya/renkubetunenreibetudanjobetujinkou/

 

遺品整理は「部屋をからにすること」が目的。しかしそこには数々のドラマがある

--まず遺品整理について教えてください。

川本「はい。
言葉から推測されるとおりですが、遺品整理の目的や理由は『部屋のものをすべてなくす」ことです

--業務に関しては割とシンプルなものになりそうですが…

川本「確かにそうかもしれませんね。
しかし、亡くなられた方に思いがあるのと、そうでないのとでは異なってきます

--それまでの家族関係のあり方によるということですね。
確かに『80歳の男性』という人物像でも、相思相愛でいつも一緒にいた旦那様の場合と、ケンカ別れして疎遠になった父親では違ってきそうです。

川本「おっしゃるとおりです。
遺品整理って、捉える人によっては廃品回収と何が違うの?』ですし、紙一重の部分も否めません。
例えばモノをモノとして扱うだけなら、圧縮できるパッカー車を使えば、予算も時間も少なくて済みますからね」

--でも思い入れがある場合は、モノはすべて思い出になる。

川本「ええ。
弊社は思い入れがあるケースが大半なので、例えば本なら1ページ1ページ確認しますし、紙切れ一枚でも許可なく捨てません

--初めて知りました! 実に大変なお仕事なんですね。

川本「そう見えるかもしれませんが、実は社員のモチベーションに繋がっているんですよ。
ただ処分するのではなく、自分たちでしかできないことをしたい。
結果として、お客様の期待値に反映されるのは喜びであり、やりがいなんですよね

--思い入れのあるものを扱うから、やりがいに繋がる。

川本「はい。責任のある業務ですから、弊社では遺品整理・生前整理はすべて社員が携わり、入社前の研修では、荷物をどう扱い、どう詰め、どう搬出するかを徹底して伝えています。
また、思い入れのあるもの、例えば家具などは運送会社の長所を活かして、東南アジアなどに輸送して現地で使ってもらっています」

--宝物のように扱ってくださるということですね。
それだけ丁寧なお仕事になると「捨てたくない」「探してほしい」という依頼も多いのではないですか?

川本「お陰様で、そういうお声もいただいております。
以前、長年親御さんと離れて暮らしていた息子さんが、実家を引き払うということで両親と最後に撮った写真を探して欲しいとご依頼があったんです。

量が多かったので、コンテナを50ほど使っていったん全てお預かりし、そこから分類しました。
すると何枚かお写真が見つかりお渡したところ、その中の一枚で手が止まり『これです…』と涙ぐんでいらして…

--どんなお宅にも、どんな人生にもドラマがあるんですよね…。
大変なことが全て報われた瞬間ですね

川本「こだわってやっているからこそ、最後は喜びに感じるんですよね」

生前整理の目的はズバリ「安全・防犯・自分のため・家族のため」

--では次に生前整理の目的を教えてください。

川本「こちらはシンプルです。
①安全
②防犯
③自分のため
④家族のため
の4つです」

--わかりやすいですね

川本「生前整理の目的はまず安全なんです。
あまり知られていませんが、高齢者の事故やケガの大半は自宅で起こっているんですよ

--知りませんでした。言われてみれば、モノが多いと動ける範囲は狭くなりますね。

川本「その通りなんです。足元にあれば転んでしまったり、階段に積んであったものがなだれを起こしたり…

--想像しただけで危なそう…。

川本「2つ目が防犯。ゴミ屋敷は泥棒に入られたり、時には放火される可能性もあります

--中に危険なものが含まれていたら、自然発火の恐れもありますし、モノが多いとより危ないですよね。

川本「実際『万が一燃えたら飛び火するので』という、ご近所さんからの苦情もあります。
そして3つ目は自分のため。自分の生活を豊かにするためなんです

--具体的には?

川本「モノが少なくなれば安全に暮らせ、地震などの天災でも危険性が減り、さらにはスッキリとした暮らしが手に入り、モノを探す時間も減り、掃除も楽になる。
生前整理は決して『万が一のことを考えて身辺整理をする』ためだけではないんですよ。
今の暮らしを、より快適に過ごし、毎日を楽しくするための大切なものなんです

--イメージするとわかりやすいですよね。モノが多ければ暮らしもごちゃごちゃし、モノが少なければ気持ちもスッキリしますから。

川本「心理的要素は大きいですよね。
生前整理の場合は、今後も住み続けたいけれどどうしていいかわからないケースが多いんです。
具体的に

・部屋が限られている
・家具の配置はどうするといい?
・住みやすくするには?
・ケガがない空間づくりとは?

そんなことに、私たちプロがお応えしていくわけですね。

家具の配置や耐震グッズの活用、非力でも家具を移動しやすいよう椅子の脚にフェルトをつけるなど、お伝えしています

--インテリアコーディネーターのようなお仕事でもあるんですね。
そして最後が『ご家族のため』

川本「最終的に遺品整理をするのはご家族です。その場合にモノが少なければ負担も少ない。
私たちは生前整理は家族への思いやりともお伝えしているんですよ」

今のうちからできることとは?

--生前整理・遺品整理の目的がわかったところで、私たちのようなユーザーが、今できることを教えていただけますか?

川本「まずは、普段から不要なものをコツコツ整理・捨てておくことです。
高齢者になってから意識するのではなく、若いうちから習慣化しましょう。
生活を豊かにすることが、生前整理に繋がります

--やはり…プロにお願いした方がいいのでしょうか?

川本「そうですね。通帳や現金などは経験から『こういうところにありそう』というのがわかりますからね」

--遺品整理の場合、どんなタイミングでお願いするといいですか?

川本「遺品整理は『思い出があるから…』と時間がかかってしまうんです。そうして何年も経ってしまい、結局自分の生活に影響が出てしまったケースをたくさん見てきました。

でも大好きな方が亡くなったんですからね、気持ちの整理をつけるのに少なくとも半年や1年かかります。
ですから心の整理がついたら、プロを頼って欲しい気持ちに寄り添って、同じ思いでモノに携わっていきます」

→関連リンク:失敗しないための生前整理・遺品整理の業者の見分け方

--最後に、これからの川本さんや御社の目標や夢について教えてください。

川本「これまでは地域ナンバーワンを目指し、お陰様でこの地域では遺品整理=大橋運輸と親しんでいただけるようになりましたが、今後目指すのは『最も信頼される存在』。
大きくする、一番になるのではなく、困った時に何でも相談できる、心強い存在になっていきたいですね

--本日はありがとうございました。

 

聞き手:取材ライター/増田 有香(綴屋)https://tsuzuriya.jp/
写真提供:写真AC

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